今年もまた、桜の花が咲き、私たちにめぐる季節の喜びを伝えてくれました。一年の節目をこの季節に置き、入学や入社など、人事のスタートを自然の摂理に重ねた古人の知恵は、人間の成長を長い目で見守ろうという気持ちから生まれたものなのでしょうか。
桜花爛漫と咲き匂うひとときのあと、特に染井吉野などは、勢いよく葉を繁らせ、木の幹や枝の先まで養分を与え、より太くより高くより先へと成長を支えます。やがて蝶となる毛虫に食われながらも、いよいよ緑を増す桜の葉の季節も、私はまた大好きです。
しかし、それ以上に好きな桜の姿は、花も葉もなく、幹と枝ばかりのまま、風雪に耐え、やがて来る春の到来を待つ冬の桜です。みなぎる力を地中深い根に込め、広がる枝を支える幹のこぶの荒々しいかさぶたのような跡が、生きるための苦闘を物語っているような、そんな姿です。
あざやかな彩りの季節はほんのわずかですが、万感の想いをかきたててやまないこの美しさを支える道のりの意味を、ぜひとも新しくスタートを切った若い世代の皆さんにお伝えしたいと思います。会社組織に飛び込んだ若い力もすぐに実になるわけではありません。会社の業績を上げるための戦略と実践、日々の反省と努力を重ねる中で、はじめて組織のひとつの年輪になる。そのための支援にわれわれは惜しみなく努めたいと思います。
平成18年 4月 吉日


