年末年始の休みを利用して、イギリスを訪ねました。最後に行ったのは、滞在中に昭和天皇崩御の報に接した時ですから、まる18年ぶりでした。それでも、地下鉄に乗り、またバスに乗ってロンドンの市街を動き回っているうちに、少しずつ昔の記憶を取り戻してきて、30年前に初めて行ったときに見たハイドパークの丸い池を巡ったり、馬に乗ったアン王女だかだれだかが駆けていった馬道を歩いたり、イギリス人のおばあさんに天皇の死を教えられたフィンチリーの住宅街を訪ねたりして、ひととき感傷に浸りました。
ひとつだけ、今回は絶対に行くと決めていたところがあります。これまで、どうしても行く機会がなかったセント・ポール大聖堂です。604年の建造以来、幾度かの再建があり、現在のものは300年前の建物だそうですが、ここの最上部の「金の回廊」までの530段の階段のぼりを敢行しました。暖冬のせいもあり、汗を拭きつつようやく登り切って、地上150メートルの眺めを楽しみました。次の2枚のスナップ写真はその時のものです。
シティ方面には、何本ものクレーンが伸びてビルの建設ラッシュを物語り、南の方に広がるテムズ川の河畔にも、建築中の建物をいくつも見ることができました。活況を呈するイギリス経済を改めて感じました。
その夜、イギリス在住20年になる日本人の友人と、ロンドン塔近くにあるレストランで中世風のショーと食事を楽しみながら、この国の、伝統に対する頑固なほどの愛情というか信頼(中世の城壁や道路がそのまま使われている)と、優れた新しいものを受け入れ、外国人であろうが外国の会社であろうが、外部のものを受け入れる柔軟な考え方(ヒースロー空港の運営をしているのはオランダの会社である)について、あれこれ話しました。
今回の旅の目的のひとつは、三浦按針として名を残すイギリス人、ウィリアム・アダムスの故郷(ジリンガム)を訪ねることでしたが、400年も昔の文字通りグローバルな旅に命を賭けた彼の気性は、現代のイギリスにもそこかしこにうかがうことができました。ユーラシアの東の果てに戻ってきて、その精神のよりどころを、日本の若者にも伝えたいと強く思いました。
平成19年 1月 吉日


