「外国で働くということ、あるいはツバメのジェロ君」
その朝もいつものように多摩川堤を走っていると、黒いつぶてが、勢いよく私を追い越していきました。3月29日。早過ぎるツバメの到来です。二羽のつがいは、楽しくてしかたがないとでもいうように、堤から川面へ、川面から堤へと飛行を繰り返していました。
おだやかに晴れたこの日、新宿御苑でお花見を楽しみました。土曜日でもあり、花よりも人の鼻息でむせかえる混雑ぶりで、入場券を買うにも長い行列を作る始末でしたが、中に入ると、芝生や木々の向こうに、山桜や染井吉野、紅しだれなどが、文字通り一面さくら色に咲きほこって、訪れた多くの人たちと同様、自然と自分の顔もほころんでいくのを感じました。
この日は、JSAの日米英韓の4カ国にまたがるメンバーの集まりでした。JSAとは「海外高校生による日本語スピーチコンテスト」の略称で、毎年7月、海外15カ国ほどの国から日本語を学んでいる高校生の代表を選び、その世界大会を開き、およそ2週間の共同生活を通して交流を図るというプログラムでです。1995年に第1回を開き、今年が13回目。私はその運営にずっと携わってきました。
ワインを開け、お弁当を食べながら、ラジカセで「海雪」という歌を聞きました。異色の演歌歌手として登場してきたジェロ君は、このJSAの第3回目のアメリカ代表として、初めて日本にやってきました。やせ気味で小柄な15歳の引っ込み思案のJeromeが、駐車場の隅に置いたバスケットゴールに向かって一人でボールを投げていた姿がよみがえってきました。当時の運営スタッフが、バスの中やカラオケで歌いまくっていた彼のようすを懐かしく話してくれました。
日本に興味を持ち、日本語を学んで、日本の学校に留学し、日本に住んで、日本で働きたいと思う外国人は少なくありません。「ぼくのおばあちゃん」という題でスピーチをおこなったジェロ君は、演歌の歌い手として日本で働く道を選びました。JSAのシンボルマークはツバメですが、ツバメのジェロ君は、しっかりと日本のファンの心をつかみ、日本の音楽シーンに新たなページを刻み続けてくれることを願わずにはいられません。好きなことを続けるには、大変な努力が必要です。初心を忘れず、さらに大きくはばたく翼を持てますように!
お花見のようすを、記録として載せておきます。

※ ご参考までに、JSAの詳細は下記にてご覧いただけます。
http://www.iware.ne.jp/jsa/
平成20年 4月 吉日


